2025年に新設される中小企業庁の補助金。その中でも注目度が高い制度が「新事業進出補助金」です。コロナ禍ではじまった事業再構築補助金から、「コロナ対策」という要素を除外した内容になっています。
新たな制度で重要なことが「どの業種が採択されやすいか?」です。補助金に申請する手間はかなり大きいため、相性が悪い補助金への挑戦は徒労になりかねません。これを避けるためには、現在ある情報をもとに、ある程度の想定をしておくことが必要です。
そこで、今回は新事業進出補助金で「採択されやすい業種・採択されにくい業種」について解説します。まずは「事業再構築補助金」の概要をご紹介し、その後に本題に入っていきます。
新事業進出補助金とは?
まずは新事業進出補助金の概要をご紹介します。この制度は、賃上げや人手不足といった厳しい外部環境に適応するため、「既存事業とは異なる新分野」へ参入し、新たな事業の柱をつくることで企業の成長を目指すことが目的です。
主な補助対象経費は「建物費」「機械装置・システム構築費」「広告宣伝費」などです。補助率は1/2と少し低めですが、補助上限額は従業員数20人以下で2,500万円と大きな金額となっています。
補助上限額は従業員数が増加するにしたがって大きくなり、大幅な賃上げを行う従業員数101以上の企業では、最大9,000万円の補助金額となります。
それでは、業種による採択のされやすさ、採択のされにくさが存在するのか?という点を解説していきます。
採択率は業種によって決まるのか?
まず最初にお伝えしたいのは、「公式に採択されやすいと明記される業種はない」という点です。その理由は、応募資格は多様な業種があるにも関わらず、「○○業は採択されやすいです」と明記されると平等性に欠けるからです。
とはいうものの、新事業進出補助金の前身である事業再構築補助金では、明らかに採択率が高い業種・低い業種が存在しました。下図は事業再構築補助金の応募件数・採択件数の業種別割合を表した円グラフです。
製造業は応募件数の割合が27.0%にとどまりますが、採択件数の割合は43.6%です。つまり、応募件数の割に採択件数が多いことを表します。
一方、不動産業は応募者のうち4.7%を占めていましたが、採択は1.7%と非常に低調となりました。この流れを汲むと、業種による採択率の隔たりは生じる可能性が高いでしょう。
それでは採択されやすい業種を見ていきましょう。
採択されやすい業種
新事業進出補助金で採択されやすいと予想される業種として、挙げられるのは「製造業」でしょう。ものづくり大国の日本において、多くの雇用と付加価値を生み出している産業です。
事業再構築補助金においても、その採択率は群を抜いており、国からの期待感も見て取れます。また、「ものづくり補助金」の採択者には製造業が多いため、「補助金慣れ」「事業計画書の策定慣れ」した企業が多いことも、採択率が高くなる要因の一つといえるでしょう。
事業再構築補助金では応募割合27.0%・採択割合43.6%から逆算すると、平均的な採択率の1.61倍の好打率です。その中でも、特に国が注力している「半導体関連」への進出は時流に乗った市場拡大が見込まれるため、採択率も高くなる可能性があります。
また、情報通信業(ソフトウェア業など)においては、「AI関連」のサービス提供などが追い風を受けており、こちらも採択される可能性は他業種よりも高くなりそうです。
それでは逆に「採択されにくい業種」は、どのようなものでしょうか?
採択されにくい業種
採択されにくい業種については、ネガティブなことなのでご紹介しづらいのですが、不採択だと皆様の労力がムダになってしまう可能性があるため、想定される内容をお伝えします。
次の業種については、採択が「100%不可能」というわけではありませんが、ハードルは非常に高くなると予想されます。
■コロナ禍で急増した業種・廃業が多い業種
・から揚げ店 ・焼肉店 ・高級食パン店 ・フィットネススタジオ
・シミュレーションゴルフ場 ・美容室 ・エステサロン
・ネイルサロン ・マッサージ店 ・キャンプ場 ・グランピング ・民泊
■雇用を生みにくく資産運用性が高い業種
・餃子等の無人販売店 ・冷凍自販機での小売 ・コインランドリー
・不動産賃貸業
以上が例として挙げられます。もちろん、100%採択されない訳ではありませんが、ハードルは相当に高くなります。
それでも熱い思いがあり、チャレンジされる方は、「既存事業の強みを活かせる」「地域資源を活かせる」「地域内連携で活性化に貢献できる」「多くの雇用を生み出せる」といったプラス要素を盛り込む事業にすると良いでしょう。この点は補助金どうこうだけに限らず、現実的にも事業の成功に重要な観点です。
まとめ
いかがでしたか?新事業進出補助金の採択率は、前身である事業再構築補助金が参考になります。まずはご検討中の業種が採択されやすいか、採択されにくいかを把握することは、補助金を活用するうえで重要です。
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中小企業診断士。1983年 広島県福山市生まれ。2009年から中小企業団体中央会に入職して中小企業支援の道に入り、ものづくり補助金の事務局も経験。2023年に補助金支援とや経営改善を行う”つなぐサポート合同会社”の代表に就任。補助金採択は100件・10億円・採択率80%を越える。事務局経験を活かした事業計画策定・手続きの一貫サポートが強み。趣味はランニング。