資金繰り表とは何か?
資金繰り表とは、一言で言うと、企業の「お金の流れ」を予測し、管理するためのツールです。具体的には、一定期間(通常は1ヶ月単位)内に入ってくるお金(入金)と出ていくお金(出金)を見える化し、その差額(資金余剰または不足)を把握するための表です。
資金繰り表は、企業の経営状態を判断するための3大財務諸表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)と並び、経営者にとって極めて重要な管理ツールです。なぜなら、これを用いることで企業の「今」だけでなく、「未来」のキャッシュフローを見通すことが可能となるからです。
資金繰り表を作らないとどうなるか?
資金繰り表を作成しないと、企業はいつ資金が不足するか、いつ資金が余剰になるかといった情報を把握できません。これは、船が羅針盤無しに大海原を進むようなもので、いつ何が起こるか予測ができない状態と言えます。
具体的には、資金繰りが逼迫すると、給料の支払いが滞ったり、取引先への支払いが遅れたり、最悪の場合、倒産に繋がる可能性もあります。また、資金が余剰になったとしても、その使途が明確でなければ、無駄な出費につながる可能性もあります。これらはすべて、企業の信用失墜や経営の不安定を招きます。
資金繰り表を作るメリット
資金繰り表を作成するメリットは大きく分けて3つあります。
- 資金不足の予防:資金繰り表を作成することで、資金が不足する可能性がある時期を事前に把握することができます。これにより、適時に資金調達を行う
ことが可能となり、資金繰りの逼迫を防ぐことができます。
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資金余剰の活用:また、資金繰り表を見ることで、資金が余剰になるタイミングを予測することができます。これにより、余剰資金を有効に活用する計画を立てることが可能となります。例えば、投資や積立、返済など、資金の最適な使い道を考えることができます。
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信用向上:資金繰り表は、金融機関からの融資を受ける際にも有用です。具体的な資金繰りの計画があると、返済能力があると評価され、信用力が向上します。
資金繰り表の作り方
では、資金繰り表は具体的にどのように作成するのでしょうか。以下にその手順を説明します。
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期間設定:まず、資金繰り表を作成する期間を設定します。通常は1ヶ月単位で作成しますが、ビジネスの性質により、1週間単位や1日単位で作成することもあります。
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入金予定の把握:次に、設定期間内の入金予定額を把握します。売上の見込み、融資、投資収益など、企業に入ってくるすべてのお金を列挙します。
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出金予定の把握:同様に、設定期間内の出金予定額を把握します。人件費、原材料費、借入金の返済、設備投資など、企業から出ていくすべてのお金を列挙します。
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差額の計算:入金額と出金額の差額を計算し、それが資金余剰または資金不足となります。この値を確認し、資金繰りの状況を把握します。
資金繰り表を作る際のポイントと注意点
資金繰り表を作成する際のポイントと注意点を以下に示します。
- 現金化タイミング:売上があってもすぐに現金化されない場合があります。また、経費を計上してもすぐに現金が出
ていくわけではありません。したがって、資金繰り表を作成する際には、実際の現金の動きを把握することが重要です。
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予測の精度:資金繰り表の精度は、予測の精度によります。売上の見込みや出費の見込みをなるべく現実的に予測することが求められます。また、予想外の出費や入金もあるため、一定のリスクマージンを設けることが推奨されます。
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定期的な見直し:資金繰り表は一度作成したら終わりではありません。定期的に見直し、最新の情報に更新することが必要です。これにより、常に最新の資金繰りの状況を把握することができます。
まとめ
資金繰り表は、企業経営における重要なツールであり、その作成と活用は企業の健全な経営を支えます。資金繰り表を作成することで、未来の資金繰りを予測し、資金の不足や余剰を事前に把握することが可能となります。
これにより、企業は資金不足を防ぎ、余剰資金を有効に活用することができます。また、具体的な資金繰りの計画があることで、金融機関からの信用も得やすくなります。
しかし、資金繰り表の作成には注意が必要です。現金化のタイミング、予測の精度、定期的な見直しといったポイントを押さえることで、より効果的な資金繰り表を作成することができます。
本記事を参考に、あなたの企業も資金繰り表の活用を検討してみてはいかがでしょうか。それは、企業の経営をより安定させ、さらなる成長を促す一助となるでしょう。
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