皆さん、こんにちは。広島県福山市の経営コンサルタント、中小企業診断士の児山です。今日は経営指標の一つ、「債務償還年数」について詳しく解説します。中小企業経営者の皆さんはもちろん、これから事業を始めようと考えている方にも役立つ内容となっています。
1.債務償還年数とは何か
債務償還年数とは、企業が借入金を返済するために必要な年数を示す指標です。一般的には、総債務を経常利益で割って求められます。この指標は、企業の健全性を測る一つの基準として利用されます。
この指標が大きいほど債務返済に時間がかかるということで、企業の財政健全性について疑問を持つこともあります。反対に、債務償還年数が小さいということは、企業が利益を上手く活用し、返済能力があると評価されます。
2.債務償還年数の計算方法の詳細
債務償還年数の具体的な計算方法は以下の通りです。
債務償還年数 = 借入金 ÷ (経常利益 + 減価償却費 – 法人税等)
借入金は、企業が返済しなければならない総債務です。一方、分母の「経常利益 + 減価償却費 – 法人税等」は、企業が実質的に使えるキャッシュフローを示しています。
例えば、借入金が2,000万円、経常利益が500万円、減価償却費が200万円、法人税等が100万円の場合、債務償還年数は、2,000 ÷ (500 + 200 – 100) = 2.86年となります。これは、現在の利益水準と財務状況が維持された場合、約3年で借入金を全て返済できるということを示しています。
3.債務償還年数の適正な目安
債務償還年数の適正な目安は、業種や経営状況によりますが、一般的には7〜10年が目安とされています。これは、経済状況や市場環境が数年単位で変わることを考慮したものです。すなわち、債務償還年数が3年を超える場合、借入金の返済計画を見直すか、新たな資金調達策を考える必要があるかもしれません。
4.債務償還年数を見る上での注意点
債務償還年数は、企業の健全性を示す一つの指標ですが、これだけで全てを判断するのは危険です。まず、債務償還年数はあくまで計算上の数値であり、将来的な経常利益が保証されているわけではありません。また、債務償還年数が小さい企業でも、業績が急速に悪化すれば返済が困難になる可能性もあります。
また、債務償還年数を下げるために無理な返済計画を立てるのも避けるべきです。返済が追いつかなくなれば、結果的には企業の信用力を下げ、新たな資金調達が難しくなる可能性があります。
5.債務償還年数と他の財務指標
債務償還年数以外にも、企業の財務健全性を測るための指標は多数存在します。例えば、自己資本比率、流動比率、総資本回転率などは、企業の財務構造や経営効率を示す重要な指標の一つです。これらの指標が良好であれば、企業の信用力が高く、経営の安定性が認められます。
6.まとめと注意点
債務償還年数は、借入計画を立てる上で大切な指標ですが、あくまで一つの視点であり、他の財務指標と組み合わせて考えることが重要です。また、将来の事業展開や成長戦略によっては、あえて債務償還年数を伸ばし、投資に回す選択もあります。これらは全て、経営者の戦略に左右されます。
以上、広島県福山市の中小企業診断士、児山が債務償還年数について詳しく解説しました。中小企業経営者の皆さんが、この情報を活用して事業の健全な経営を進めていただければ幸いです。またのご訪問をお待ちしております。