こんにちは。広島県福山市を拠点に活動している中小企業診断士、児山です。今日は、税制の一つである特別償却に焦点を当て、そのメリットとデメリットについて詳しく解説していきたいと思います。
Contents
1. 序論: 特別償却とは?
特別償却は、法人税法などに基づき、一定の条件を満たした固定資産等について、通常の償却より早く費用として計上できる税制の一つです。これにより、短期間での費用計上が可能となり、税負担を一時的に軽減することができます。
2. 特別償却のメリット
2.1 課税の繰り延べ
特別償却の一番のメリットは、課税の繰り延べです。特別償却により早期に費用を計上できるため、その分、税金の支払いを後ろに延ばすことが可能になります。
例えば、ある企業が3000万円の設備投資を行い、これを特別償却で一括で費用計上した場合、その年の課税所得は3000万円分減少します。これにより、企業の税負担は一時的に軽減され、その分の資金を他の事業活動に使うことができます。
2.2 資金繰りの改善
特別償却による税金の節約は、企業の資金繰りにも良い影響を与えます。税金の支払いが減ることで、その分の現金が手元に残り、これを運転資金として活用することができます。
例えば、新しい事業を立ち上げるために大きな投資を行った企業が、特別償却により初年度の税負担を軽減した場合、その節約分を新事業の運転資金として使うことができます。これにより、新事業の立ち上げ期間中の資金繰りが改善され、事業の成功に繋がる可能性が高まります。
3. 特別償却のデメリット
3.1 未来の税負担の増加
しかし、特別償却のデメリットを理解しなければなりません。特別償却は税負担を繰り延べるだけで、最終的な税負担額は変わりません。特別償却により初年度の税金が減った分、将来の税金は増えることになります。
上述の例
の3000万円の設備投資を一括で特別償却した企業を考えてみましょう。初年度は課税所得が3000万円減るため税負担が軽減されますが、2年目以降は通常の償却ができないため、課税所得が増え、結果的に税負担が増えます。これは企業の利益が増えた場合に特に影響が大きくなります。
3.2 資金繰りの悪化
また、未来の税負担の増加は資金繰りにも影響を及ぼします。特別償却により初年度の税金が減った分、将来の税金が増えるため、その時点でのキャッシュフローが増えるものの、将来的な資金繰りの悪化を招く可能性があります。
例えば、新事業が立ち上がり初年度は赤字だったが、2年目から黒字に転じた企業を考えてみましょう。この企業が初年度に特別償却を行った場合、2年目以降の課税所得が増えるため、税金の支払いが増え、結果的に資金繰りが悪化します。
4. 結論: 特別償却の活用とリスク管理
特別償却は、初期の税負担軽減や資金繰り改善に効果的な税制です。しかし、その一方で未来の税負担増や資金繰りの悪化といったデメリットも理解しておく必要があります。
特別償却を上手く活用するためには、そのメリットとデメリットをしっかり理解した上で、自社の財務状況や事業計画に合わせて適切に利用することが重要です。
また、特別償却の手続きは複雑であり、適用できる資産や要件も厳しく定められています。無理に特別償却を適用しようとせず、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
広島県福山市で活動する中小企業診断士の児山として、私自身も企業の経営者の方々に対し、税制や財務戦略のアドバイスを行っております。経営課題についてご相談がありましたら、お気軽にご連絡ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

中小企業診断士。1983年 広島県福山市生まれ。2009年から中小企業団体中央会に入職して中小企業支援の道に入り、ものづくり補助金の事務局も経験。2023年に補助金支援とや経営改善を行う”つなぐサポート合同会社”の代表に就任。補助金採択は100件・10億円・採択率80%を越える。事務局経験を活かした事業計画策定・手続きの一貫サポートが強み。趣味はランニング。