新製品・サービス開発に必要な設備投資を補助する「ものづくり補助金」。中小企業庁が実施する制度で、10年以上続く人気の補助金です。
2025年(令和7年)も2月14日から19次公募がはじまりました。令和6年度補正予算で仕切り直しとなるものづくり補助」ですが、予算が変わったタイミングでは制度の内容に変更がつきものです。
そこで今回は、ものづくり補助金の「変更点」について、その内容を詳しく解説していきます。
Contents
ものづくり補助金の概要
まずは最初に、ものづくり補助金の概要をおさらいしましょう。
事業の目的
ものづくり補助金の目的は、「中小企業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた、革新的な新製品・新サービスの開発や海外需要開拓に必要な設備投資等を支援すること」です。
契機の低迷や物価高騰が続く中、国は生産性の向上・労働者の賃上げの推進に力を入れており、これらを実現して企業が競争力を高めるための設備投資を応援する、という姿勢を取っています。
補助金額と補助率
今年からのものづくり補助金の補助金額と補助率は次のとおりです。
従業員数ごとの補助上限額
5 人以下 750万円(850万円)
6~20 人 1,000万円(1,250万円)
21~50 人 1,500万円(2,500万円)
51 人以上 2,500万円(3,500万円)
※( )内は大幅賃上げを行う場合の特例
企業規模ごとの補助率
中小企業:1/2
小規模企業者:2/3(従業員20人以内、商業サービス業5人以内)
例① 従業員10人の製造業が1,500万円の機械を購入
このケースでは補助上限は1,000万円、小規模企業者で補助率2/3であるため、補助金額は設備投資1,500万円×補助率2/3=1,000万円となります。
例② 従業員21人の製造業が4,000万円の機械を購入
このケースでは補助上限は1,500万円、中小企業で補助率1/2であるため、補助金額は設備投資4,000万円×補助率1/2=2,000万円ですが、補助上限額に達するため補助金額は1,500万円となります。
それでは、ここからは変更点について見ていきましょう。
ものづくり補助金の変更点
細かい変更点を挙げるとかなり多いので、特に大きな変更点について見ていきましょう。
補助上限額のアップ
補助金額は次のように変更されました。従業員数20人以内では変更がありませんが、21人以上では増額されています。特に51人以上の企業では、18次の補助上限額よりも2倍にアップしていますね。
5 人以下 750万円(18次 750万円)
6~20 人 1,000万円(18次 1,000万円)
21~50 人 1,500万円(18次 1,250万円)
51 人以上 2,500万円(18次 1,250万円)
売上高10%要件の撤廃
18次公募では、「補助事業の成果による新製品・サービスの売上高が、企業全体の売上高の10%以上を占める計画」であることが要件でしたが、この要件が撤廃されました。
このルールは「事業再構築補助金」という制度から輸入されたものです。新事業だと売上高10%も考えられますが、新製品・サービスで10%というのはさすがに現実的ではない、ということで撤廃されたのでしょう。現実に即したとても良い変更といえます。
申請方式の変更
18次公募までのものづくり補助金は、WordやPowerPointで作成した事業計画書を10枚以内で作成し、PDFにしたものをアップロードする方式でした。他の補助金にも多い定番の申請方法でしたが、この度は変更になりました。
19次公募以降は、申請システム上の入力欄に、事業計画の内容を直接入力する方式になります。同じく中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」が昨年からこの方式になりましたが、これを追随する形ですね。同補助金では、下図のような入力フォームでした。
ブログのような入力スタイルですね。太字・着色といった装飾も行えます。HPを編集するWordプレスなどを使い慣れた方は抵抗が少ないかもしれませんが、多くの方は慣れるまでに時間を要するでしょう。ここが最も大きい変更点といっても過言ではありません。
収益納付の撤廃
これまでのものづくり補助金では、補助事業の成果によって事業計画期間の3~5年以内に、補助事業での自己負担部分を超える利益を獲得できた場合には、補助金の一部または全部を国庫に返還するルールがありました。
今回からはこのルールが廃止され、企業は胸を張って「利益が出ました!」という報告ができるようになります。(以前まではこのルールが要因となって、「事業化がとても上手くいっている」という報告をしづらかったのかもしれません…)
省力化(オーダーメイド)枠の廃止
18次公募では、オーダーメイドの生産システムを構築する省力化(オーダーメイド)枠がありましたが、19次公募からこのコースは廃止されました。
ただし、実はこの枠は別の補助制度である「省力化補助金(一般型)」に引っ越して継続されていますので、新製品・サービスが目的ではなく、「省力化・生産性向上」が目的の場合は、こちらの制度の利用をおすすめします。
省力化補助金(一般型)の解説記事はこちら
ものづくり基盤技術・中小サービス事業者の生産性向上ガイドラインとの関連の撤廃
これまでのものづくり補助金では、「ものづくり基盤技術」(例:デザイン、情報処理、精密加工、製造環境、機械制御 他)または「生産性向上ガイドライン」(例:新規顧客層への展開、商圏の拡大、独自性・独創性の発揮 、ブランド力の向上、顧客満足度の向上 他)との関連性を事業計画書の中で記載する必要がありました。
この要件が完全に撤廃されることになりました。事業計画書の中で貴重なスペースを割いていましたので、申請者・審査員の両者にとって負荷が減ったと考えて良いでしょう。
このように、いくつかの変更点がありましたが、制度自体に大幅な変更はありません。とはいえ、申請方式の変更で計画書の”見栄え”が淡泊になると、計画書自体の評価が低くなることにもつながります。
申請システムを実際に操作できるのは、公募締め切りの2週間ほど前で時間は少ないです。ここはやはり専門のコンサルタントとの連携を視野に入れるべきでしょう。
まとめ
いかがでしたか?2025年からのものづくり補助金も、使いやすい魅力的な制度です。上手く活用できれば、企業の成長を大きく加速させることにつながります。
とはいえ、近年の中小企業庁の補助金の採択率は低下傾向にあり、ものづくり補助金も30~35%の採択率が予想されます。補助金専門のコンサルタントとの連携が採択の近道といえるでしょう。
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中小企業診断士。1983年 広島県福山市生まれ。2009年から中小企業団体中央会に入職して中小企業支援の道に入り、ものづくり補助金の事務局も経験。2023年に補助金支援とや経営改善を行う”つなぐサポート合同会社”の代表に就任。補助金採択は100件・10億円・採択率80%を越える。事務局経験を活かした事業計画策定・手続きの一貫サポートが強み。趣味はランニング。