広島県福山市の皆様、中小企業診断士の児山です。本日は補助金の申請についてお話します。皆さんは補助金の締切り日になると申請が殺到する現象をご存知でしょうか。これは何故でしょうか?人間の心理的な動きと計画性の観点から解説します。
ヒトのサガについて
まず初めに、この状況を理解するためには「プロクラスティネーション(先延ばし行動)」と「最後期効用理論」について理解しておくことが重要です。
プロクラスティネーション(先延ばし行動)
人間はついつい「やらなければならないこと」を先延ばしにしやすい生き物です。これは心理学で「プロクラスティネーション」と呼ばれる現象で、短期的な快楽を求める傾向が、長期的な目標達成の邪魔をするとされています。
例えば、補助金申請も一つの「やらなければならないこと」です。しかし、申請作業は複雑で時間がかかるため、ついつい後回しになりがちです。特に他の業務が忙しい場合、補助金申請は「後でやろう」と思われがちです。
最後期効用理論
一方、締切り直前になると急に申請が増える現象も見られます。これは「最後期効用理論」によるものです。これは、締め切りなどの期限が近づくと、そのタスクの重要性や緊急性が高まり、行動が活発化するという理論です。
つまり、補助金の申請期間中、私たちは「プロクラスティネーション」により申請を先延ばしにし、締切り直前になると「最後期効用理論」により一気に申請に取り組む傾向があるのです。
計画性の不足について
次に、補助金の申請殺到につながるもう一つの要因、それが「計画性の不足」です。
計画の立て方の難しさ
補助金申請のプロセスは複雑で、適切な申請書類の準備から申請までに時間がかかります。しかし、多くの人が計画を立てるのが苦手で、特に時間管理については自信を持っている人は少ないです。
その結果、補助金申請の締切りが迫るまでに適切な準備ができず、締切り日になってから慌てて申請するという状況が生まれます。
情報過多による判断力の低下
また、現代社会は情報過多です。補助金の申請に必要な情報も多く、それらを理解し適切な申請を行うには一定の時間とエネルギーが必要です。
しかし、他の業務もある中で必要な情報を集め、それを理解し、申請するための計画を立てることは、容易なことではありません。その結果、情報の選別や判断を後回しにし、申請の準備も遅れがちになります。
解決策としての計画性の向上と先見の明
以上の「プロクラスティネーション」、「最後期効用理論」、「計画性の不足」を踏まえて、補助金の締切り日に申請が殺到する問題を解決するための手法を考えてみましょう。
早期の計画立案と実行
補助金申請が締切り日に殺到する最大の原因は、先延ばしになる傾向と計画性の不足です。これらを克服するためには、早期の計画立案と実行が必要です。
具体的には、補助金申請の詳細が公開された時点で、必要な書類や情報の整理を始め、スケジュールを立てることが求められます。そして、計画したスケジュールを実行するための具体的な行動を続けることが重要です。
先見の明をもつ
また、未来を予測し、その結果に対する準備を始める能力、つまり「先見の明」も重要な要素です。例えば、補助金の申請期間や内容が公表されたら、それを見越してどのように行動すれば効率的に申請ができるのかを考え、早めに行動に移すことが求められます。
締切り日に申請が殺到する現象のまとめ
経営者の皆さん、私たちは補助金申請における「締切り日殺到」現象について、人間の心理的な動きと計画性の観点から探りました。この理解は、ただ補助金申請だけでなく、様々な業務やプロジェクトの管理にも応用可能です。
私たちが共有した解決策、早期の計画立案と先見の明を持つことで、補助金申請の締切り日に殺到する現象を避け、より効率的に業務を進めることが可能になります。