ものづくり補助金を活用するために知っておきたいポイントは?
設備投資の補助金として人気を博している「ものづくり補助金」。2025年(令和7年)においても令和6年度補正予算としての実施が予想されています。
設備投資に活用できる補助金制度は、企業の成長をサポートする強力な支援策です。近年では、「ものづくり補助金中」に加えて、新事業に進出するための「事業再構築補助金」も多くの事業者様に利用されました。
補助金制度は、新たなチャレンジに必要となる設備投資や事業開発費の一部を補助してくれる、ありがたい存在です。しかし、利用する際には注意が必要な点も多く、制度の理解不足が大きなリスクとなる場合があります。本記事では、補助金活用時の重要なポイントを解説します。
「採択=補助金の確定」ではない
補助金に応募し、2~3か月の審査期間を経て「採択」を勝ち取った際には、多くの事業者様は気持ちが盛り上がります。数百万円~数千万円の資金を利益で稼ぐとなると、その10~20倍程度の売上が必要になりますから、これが補助金で賄えるとなれば、気持ちが高揚することは当然といえるでしょう。
補助対象経費の精査は採択後にも実施される
「採択」という状況は、あくまでも「事業計画の有用性と補助事業への適合性が認められた」という段階に過ぎず、補助金の交付が確定したわけではありません。つまり、採択されたにも関わらず補助金が出ない場合もあるのです。
たとえば、補助対象として計上した経費の中に、補助対象外とされる経費が混ざっているような場合には、交付申請の段階で問題が発生することがあります。交付申請では、補助金の事務局が提出された事業計画・補助対象経費の内容を詳細に審査し、不適格と判断された経費は補助金の対象から除外されます。場合によっては、全ての費用が補助対象外となる可能性もあります。
このような誤解は後々のトラブルとなるため、補助金事務局では「採択という言葉は誤解を招くので、「採択」や「採択決定」という用語の前に【補助金交付候補】という言葉を入れますよ」いう旨を事務局ホームページに掲載し、注意喚起を行っています。(下画像はものづくり補助金総合サイトの抜粋)
事前の確認が重要
こうしたトラブルを避けるためには、申請前にものづくり補助金を専門としたコンサルタントや、補助金制度に精通した公的支援機関(商工会議所・商工会・中央会)と相談し、補助対象となるかを確認しておくことが不可欠です。
コンサルタントには、ものづくり補助金だけでなく事業再構築補助金でも高い採択率をマークしている士業である「中小企業診断士」がベストでしょう。補助金のプロに依頼することで、事業計画の内容や計上する経費の適正性をチェックし、問題を未然に防ぐことができます。
補助事業期間内に事業を完了させる
採択後の「交付申請」という手続きを経て補助金の交付が決定した後でも、油断は禁物です。交付を受けるためには、事業計画を補助事業期間内に完了させ、実績報告を行う必要があります。事業の完了とは、「設備の導入(納品・検収)」「導入設備の代金支払い」「設備を活用した効果の検証」のすべてが完了した状態のことを示します。
その中でも、特に注意が必要となることは、設備の納品の遅れです。数年前は、半導体不足や物流の混乱により、納品が予定より大幅に遅れるケースが増えました。このようなことがあると、想定した期間よりも大幅に納期がズレ込みます。その結果、補助事業期間内に事業を完了できず、補助金を受け取れないリスクが生じることがあります。
納期遅延のリスク回避
設備投資を計画する際には、発注時に「補助金事業であること」「納期厳守が必須であること」を明確に伝えることが重要です。納期が事業完了期限を1日でも超えてしまうと、補助金額は0円になってしまいます。
なお、ものづくり補助金では、単価50万年以上の設備投資を発注する前に、本見積だけでなく相見積も必須となります。「事業再構築補助金」では3社見積もりが必要でしたが、ものづくり補助金は今後も本見積・相見積が必要となる(2社見積りまででOK)という見方が優勢です。
ただし、ものづくり補助金で中古品の設備を購入する場合は、合計で3社分の見積(本見積×1、相見積×2)が必要となります。とはいえ、昔は中古品はNGでしたので、制度が柔軟化したと捉えることもできますね。(下記は18次公募の公募要領からの抜粋です)
資金繰りの準備を怠らない
補助金の交付は原則、実績報告の完了後に行われます。つまり、補助金が実際に手元に届くまでにはタイムラグがあるのです。実績報告から交付までの期間が数カ月から半年に及ぶことも珍しくありません。
このため、事業費用を賄うためのつなぎ融資や、柔軟な返済スケジュールを組む必要があります。具体的には、次のように手続きを進める必要があり、補助金の支払いは⑩工程のうち⑨工程目となっています。非常に後ろの方ですので、それまでは資金の手当てが必須です。
つなぎ融資を活用する
補助金の支払いが遅れた場合に備えて、金融機関との連携を強化し、つなぎ融資を受ける体制を整えておくことが推奨されます。また、返済計画には余裕を持たせ、万一の遅延にも対応できるよう準備しておきましょう。
なお、ものづくり補助金では、補助金の交付決定通知を電子記録債権化し、これを譲渡担保として金融機関から融資を受けられるサービス「ものづくり補助金対応POファイナンス」が用意されています。
まとめ
いかがでしたか?ものづくり補助金は、魅力的な制度ですが、「採択=補助金の確定ではない」という点や、「補助事業期間内に事業を完了させること」を強く認識しておくことが必要です。専門家の力を上手く活用して、採択を勝ち取りましょう!
広島県福山市に本社を置く弊社では、ものづくり補助金(2025年)の申請サポート(行政書士と連携した申請代行も)も展開しており、オンラインによる全国対応も実現しております。
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