2025年6月に第1回の締切を迎えた「新事業進出補助金」。かつてコロナ禍からのV字回復のために設けられた事業再構築補助金の後継に位置づけられる補助金です。
補助金の内容は、読んで字のごとく、「新事業への進出」を目指す取り組みに対して補助金で支援を受けられる制度となっています。
とても複雑なルールがあり、事業計画書の作成にも大きな労力を要するため、不採択だとこれにかけた労力がムダになってしまいます。そこで、今回は新事業進出補助金における「採択のポイント」について、詳しく解説します。
新事業進出補助金の応募要件
採択のポイントの前に、まずは簡単に新事業進出補助金の「応募要件」を確認しましょう。ここがクリアできなければ、そもそもこの補助金へチャレンジすることができません。
確実に抑えていただきたいのが、「①製品等の新規性要件」「②市場の新規性要件」「③新事業売上要件」です。
| 要件 | 要件の概要 |
| ①製品等の新規性要件 | 補助事業で製造する製品や提供するサービスが、応募企業にとって、新規性を有するものであること(これまで行ったことがない事業であること) |
| ②市場の新規性要件 | ①の製品やサービスの販売・提供先が、既存事業の顧客層とは異なり、新しい市場の開拓となること |
| ③新事業売上高要件 | 補助事業の売上高(又は付加価値額)が、応募申請時の自社の総売上高の10%(または総付加価値額の15%)以上となること |
次に抑えていただきたいのは、補助事業で取り組む行う事業が「新市場性」または「高付加価値性」のいずれかを満たすか?という点です。
それぞれ、ご検討中の新事業が下記を満たすかを確認しましょう。
| 要件 | 要件の概要 |
| 新市場性 | 認知度が低い又は未成熟の市場に進出する |
| 高付加価値性 | 市場の認知度は高く成熟しているが、存在する商品・サービスの中で、補助事業で製造・提供する製品・サービスの付加価値が高い |
詳細は過去の記事をご覧ください。
新事業進出補助金の対象になる事業とは?【応募可能?要件に適合?】【要件を解説】
採択のポイント
新事業進出補助金に対策されるためには、「審査項目との合致」が大きなポイントになります。それぞれ解説していきますね。
審査項目との合致
新事業進出補助金に限らず、ほとんどの補助金には公募要領があります。その中には、補助金のルールや注意点に加え、「審査項目」が記載されています。
補助金に採択されるためには、審査で高得点を獲得する必要があり、補助金の採択を勝ち取るうえでは、「審査項目に合致した計画になっているか?」という点が何よりも大切です。
では、審査項目はどのようになっているのでしょうか?1つずつ確認していきましょう。
(1)補助対象事業としての適格性
当補助金の要件を満たすか?という点です。ここは点数の差が付く部分ではなく、要件を満たさなければそもそも応募できないため、ここでの説明は割愛します。(企業規模の要件や付加価値・賃上げの増加目標など)
(2)新規事業の新市場性・高付加価値性
先ほど解説した「①製品等の新規性要件」「②市場の新規性要件」「③新事業売上要件」を満たしているか?という点です。応募の前提条件ですので、(1)と同じく割愛します。
(3)新規事業の有望度
| 審査項目 | 要件の概要 |
| 補助事業で取り組む新規事業が、自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・利益を確保できるだけの市場規模を有しているか?成長が見込まれる市場か? | 進出先の市場の規模が十分でなかったり、成長しない市場であれば、審査員は補助事業の成功は難しいと判断します。新事業が属する市場は、必ず有望なものにしましょう。 |
| 補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって参入可能な事業であるか? | たとえ有望な市場であっても、そこに参入できなければ絵に描いた餅です。必ず、参入が可能であるというロジックを、事業計画書の中で理路整然と説明しましょう。 |
| 競合分析を実施した上で、顧客ニーズを基に、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か。 | 有望な市場に参入できても、優位性がなければ、売上を獲得することはできません。自社が築いてきた強みで補助事業にも転用できる点を説明しましょう。 |
(4)事業の実現可能性
| 審査項目 | 要件の概要 |
| 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か? | 補助事業で苦労しそうなことへの対策を整備し、設備や建物の納期をしっかりと把握することで確実に事業遂行できる旨をPRしましょう。 |
| 最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか? | 財務状況に余裕がある場合でも、余裕がない場合においても、金融機関からの借入が実現すると経営は安定するため、基本的に本来は必要なくても、設備資金は借入した方が良いでしょう。 |
| 補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。第三者に過度に依存している事業ではないか。過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないか? | 補助事業に関する人材を社内・社外ともに記載します。どの様な経歴を持った、誰が、何をするのか?という点を改めて精査して記載してみましょう。これが分かれば審査員は安心できます。 |
(5)公的補助の必要性
| 審査項目 | 要件の概要 |
| 川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由がある事業はより高く評価。 | 国は補助金の効果的な活用を望んでいます。地域からの仕入や外注の新たな発生、雇用の創出など、新事業によって地域内に生み出されるプラスの効果を必ず記載しましょう。 |
| 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性、事業の継続可能性等)が高いか。 | 国は補助金を給付する以上、「費用対効果の高い事業」「成功確率の高い事業」を応援したいと考えます。そのため、費用対効果が優れており、投資回収期間が短く、さらに成功確率が高いことを論理的に説明しましょう。 |
| 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。 | 何らかのデジタル技術を活かした取り組みであることは必ず記載しましょう。その他の項目は、的外れなことを記載しても心象が悪化するので、無理なく記載できる場合のみ記載しましょう。 |
| 国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないか。 | 国が貴重な税金から補助金を給付する必要があるのか?という項目です。 財務体質が強くなければ、それ故に設備資金を全額自己負担することが難しい旨を説明しましょう。 逆に、強固な財務体質の場合には、「国が支援しなくても良いのでは?」と思われる可能性があるため、リスクが大きい挑戦である旨をPRしましょう。 |
(6)政策面
| 審査項目 | 要件の概要 |
| 経済社会の変化(関税による各産業への影響等を含む)に伴い、今後より市場の成長や生産性の向上が見込まれる分野に進出することを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。 | スケールの大きな話にはなりますが、自社の新事業が成功することで、日本経済にどのようなプラスの影響をもたらすか?と記載しましょう。多少は大言壮語になっても構いませんので、日本を復活させるという気概を示しましょう。 |
| 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国の経済成長・イノベーションを牽引し得るか。 |
デジタル技術については必ず言及し、低炭素技術は無理なく関連する場合のみ言及しましょう。ビジネスモデルの新規性を語り、日本のイノベーションにつながることを示すと良いです。 |
| ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。 | 中小企業ならではのニッチな戦略により、グローバル市場に進出していく旨を論理的に説明しましょう。ただし、明らかにこれに該当しない場合は、抽象的な記載にとどめてもOKです。 |
| 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、大規模な雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。 | 地域経済活性化への寄与、雇用創出、賃上げについて定量的に説明しましょう。被災地の場合は、何らかの形では復興に資すると思いますので、必ず記載することをお勧めします。 |
このように、多くの審査項目がありますが、1つ1つ丁寧に漏れなく記載していくことで、審査での高得点につながります。
審査項目が明示されている以上、それに対応する内容の記載がなければ審査ができないため、ミスは許されません。
事業計画書の「作成前」「作成途中」「作成後」のすべてのフェーズで審査項目を抑えているか?を必ず確認し、論理的かつ定量的に記載できれば、採択に大きく近づきます。
まとめ
いかがでしたか?新事業進出補助金の事業計画書を作成することには大きな労力を伴いますが、ただ作るだけでは不十分。採択されるためには、全ての審査項目を抜け漏れ無く記載し、なおかつ論理的に裏付けることが必要です。
とはいえ、これに日々ご多用な幹部層が対応することは大きなハードルです。自社での対応が判断は難しい場合には、弊社をはじめとした補助金の専門家へのご相談がオススメです。ぜひお気軽にお声かけください!
広島県福山市に本社を置く弊社では、新事業進出補助金・ものづくり補助金をはじめとした色々な補助金の申請サポート(行政書士の連携による申請代行も対応)を展開し、オンラインでの全国対応も行っています。
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中小企業診断士。1983年 広島県福山市生まれ。2009年から中小企業団体中央会に入職して中小企業支援の道に入り、ものづくり補助金の事務局も経験。2023年に補助金支援とや経営改善を行う”つなぐサポート合同会社”の代表に就任。補助金採択は100件・10億円・採択率80%を越える。事務局経験を活かした事業計画策定・手続きの一貫サポートが強み。趣味はランニング。

